賃貸管理コラム

サブリースで自己破産に陥るトラブルとは?その影響や原因を詳しく解説

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jikohasann

サブリースは、昨今の報道やニュースで繰り返し取り沙汰され問題が指摘されることで、その仕組みや内容の理解が進み、法整備によって現在では安全に利用できるサービスになりつつあります。しかし以前は、賃料の停止や中途解約によって自己破産に陥るオーナーが頻繁に取り上げられ、社会問題化していました。

なぜ、サブリースによって自己破産に陥るオーナーがいるのか、その原因であるトラブルや自己破産による影響を詳しく解説します。また、そのようなトラブルに巻き込まれないためにオーナーが意識すべきことを知っておきましょう。

サブリースで自己破産に陥るトラブルとは?

サブリースに関わらず、ほとんどの不動産投資は物件購入のためにローンを組んで始めます。そのため、賃貸経営をして、得られた収益からローンを返済する必要があります。

何らかのトラブルによってローンの返済ができない状況になると、自己破産を選択せざるを得ません。さらに、想定外の出費などによって資金計画に狂いが生じるケースも考えられます。

自己破産に陥るトラブル事例をいくつか紹介します。

保証賃料の減額・停止

サブリース会社はオーナーから物件をまるごと借り上げ、その物件を入居者に貸し出すことで賃料を得ます。オーナーは、入居者の有無に関わらず、物件そのものの賃料としてサブリース会社から保証賃料を受け取れます。

これは、オーナーからすると空室リスクを避けられるサブリースの大きなメリットです。しかし、契約内容をよく理解していないと、トラブルに発展します。

一般的に、保証賃料には一定の期限が設定されています。たとえば、最初の数年は家賃保証を行うが、その後は定期的に見直す、といった契約になっているのです。

それにより、入居率が思わしくない場合はサブリース会社から保証賃料の減額を求められたり、最悪の場合、支払いがストップしたりするおそれがあります。

当初の保証賃料を念頭にローンの返済計画を立てていると、保証賃料が減額・停止したことで返済が滞ってしまいかねません。その結果、自己破産に陥るおそれがあります。

実際、過去に大きなトラブルとなって報道されたケースでは、保証賃料がストップしたことでオーナーがローン返済をできなくなったというパターンが多いのです。

リフォーム・修繕費の負担

サブリースでは、物件のリフォームや修繕はオーナー負担によって行うことが多いです。

しかし、リフォームを行うかどうかは、実際に入居者募集を行うサブリース会社主導で決めるケースがあります。結果として、オーナー側が意図しないリフォーム・修繕費の負担に苦しむということもあるようです。

また、リフォーム・修繕の業者をサブリース会社が選び、オーナー側が業者を選べないといったこともあります。

もちろんリフォームや修繕は入居者を募集するうえで重要ですので、行わなければならない局面もあります。しかし、多額の費用もかかるため、オーナーとサブリース会社がよく相談をして、綿密に計画を立てて行うべきでしょう。

計画が不十分だと、いたずらに費用負担だけが膨れ上がってしまいます。資金面で支障が出た結果、自己破産に陥るおそれもあります。

中途解約されてしまう

賃貸経営は、物件や立地などの有利不利でうまくいかないケースがあります。

サブリースも同様で、運用している物件が経営難に陥った場合、サブリース会社から中途解約されてしまうということも起こり得ます。

サブリース会社が中途解約を申し出るということは、ある意味で「匙(さじ)を投げた」状態であり、解約後、オーナーの手には「経営が難しい物件」が残されます。

賃貸経営の業務の手間や時間を省くためにサブリースを採用していても、これでは本末転倒です。さらにオーナーはローンを背負っているため、サブリース会社に投げ出されてしまうのは非常に大きなリスクです。

サブリースで自己破産するとどうなる?

サブリースでローンの返済ができなくなった場合、最終的には自己破産という選択に至るおそれがあります。

自己破産を行うと、残債は免責されます。つまり、残ったローンはもう返済しなくてよくなります。

その一方で、自己破産によって生じるデメリットも多々あります。自己破産は「最後の手段」であり、安易に選ぶべきではありません。

自己破産による影響を詳しく解説します。

物件は手放すことに

もし自己破産してしまった場合、基本的に物件は手放すことになります。

手放す方法としては、大きく以下の2パターンがあります。

  • 任意売却
  • 競売

自身の裁量で売却でき、比較的高額で売れる可能性の高い任意売却で処分し、少しでも残債の返済に充てるというのが一般的でしょう。ただし、任意売却には、ローンを借り入れている金融機関の同意が必要です。

ちなみに、入居者がいる物件を処分する場合、サブリース会社と入居者が結んでいた賃貸人と賃借人の関係は、新たに物件を買い受けた人に引き継がれます。買い手の意思によって立ち退きが求められるケースもありますが、そのまま賃貸が継続することも少なくありません。

自己破産したことが知られてしまうリスクがある

自己破産したことは、政府から発行される官報に掲載されます。

日常的に官報を見ている人はあまりいないかもしれませんが、インターネットでも確認できる公的な媒体のため、誰の目に触れてもおかしくありません。

そのため、自己破産をしたら、それが友人や知人などの周囲に知られてしまうリスクがあるといえます。

今後、お金の借り入れが難しくなる

自己破産をしたことは信用情報に記載されます。一般的に「ブラックリストに載る」などと呼ばれる状態です。

信用情報は、金融機関などがローンやキャッシングの審査などに使用します。過去に自己破産をした人は、金融機関から見るとリスクのある人と受け取られてしまいます。今後、なんらかの借り入れを行いたくても、少なくとも自己破産から一定期間は難しいでしょう。

新たにローンなどを組むことなどはもちろん、クレジットカードを作ることも難しくなる場合があります。

財産の大半を処分する必要がある

自己破産は、債務をすべて帳消しにするという、非常に強力な措置です。貸し手である金融機関からすると、あまり行われたくないものだということは理解できるでしょう。

そのため、自己破産する人には相応の責任が求められます。具体的には、その時点で所有している資産については、大半のものを処分して、少しでも返済に充てる必要があります。

そのため、賃貸経営がもとで自己破産することになったとしても、自宅などの個人の財産も処分しなくてはなりません。

一部の職業や資格に制限を受けることがある

自己破産をすると、社会的な信用が重要と考えられる一部の職業や資格については、一定期間、制限がかけられます。その間は仕事ができなかったり、一時的に資格が失効したりします。

例として以下のような仕事や資格が該当します。

  • 士業(弁護士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、司法書士など)
  • 警備員
  • 貸金業

サブリースで自己破産に陥る原因は明確

whyと書かれた積み木と紙

サブリースで自己破産に陥る人には、共通の原因があると考えられます。

サブリース自体にはメリットが多い

サブリースで自己破産に陥るトラブルを紹介しましたが、そういったことはサブリース自体が悪いのではありません。

サブリースには次のようなメリットがあります。

  • 入居者募集の手間がかからない
  • 日常的な管理業務の手間がかからない
  • 空室・滞納リスクを避けて安定した賃料収入が得られる

つまり、サブリースは、うまく活用すれば、リスクや手間を抑えて賃貸経営ができる仕組みです。賃貸経営の経験やノウハウの少ないビギナーにも向いた手法といえるでしょう。

自己破産のようなトラブルに陥るのは、事前の調査や計画が不十分なケースがほとんどです。

事前の調査や資金計画が甘い

サブリース関連のトラブルの多くは、保証賃料の減額に伴う資金難です。

その原因は、以下の2つに集約されます。

  • 契約内容をよく理解していなかった
  • 誤解や理解不足をもとに無理な資金計画を立てていた

契約前に、どのような形で家賃保証があるのか、実際にいくらぐらいの収入が見込め、また、それにはどの程度の変動リスクがあるのか、といったことをしっかりとリサーチし、予測しておくことが大切です。

また、物件そのものが、優良なものであるかどうかという視点も外せません。

サブリースは、不利な物件でも収入が安定する魔法の方法ではありません。自主管理で利益が出ないような物件では、サブリースでも利益を出すことは難しいといえます。

サブリース会社が物件の経営状態などをもとに保証賃料の減額を申し出ること自体は違法ではありません。そのため、オーナー側もある程度のリスクを織り込んで考えておくことが必要です。

会社選びで失敗している

自己破産に陥るのは、パートナーとなるサブリース会社が悪質な会社であったり、倒産してしまったりすることで問題が生じたケースも多いです。

トラブルの例として、リフォーム・修繕費が負担になるケースを取り上げましたが、中には、不必要なリフォームや修繕を繰り返したうえで、費用の一部をサブリース会社の利益としていたというケースもあるようです。

そうした問題のある運営手法をとっている会社ではないか、また、倒産しないよう安定した経営状態かどうかなどをよく調べておくべきでしょう。

会社との相性もあるため、サブリース会社とよく相談を重ねたうえで依頼をしましょう。


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