賃貸管理コラム

サブリース契約の手数料は?経営にかかる費用や管理委託との収入の違い

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サブリース契約とは、不動産管理会社が物件をまるごと借り上げ、空室に関係なく全部屋の賃料を保証する契約です。オーナーは空室リスクを気にせず不動産経営ができるというメリットがあります。その分、通常の管理委託よりも高い手数料が発生します。

本記事では、サブリース物件でオーナーが支払う手数料やそのほかの費用について紹介します。また、管理委託と比較して収入に違いはあるのか、具体例を参考にみてみましょう。

サブリース契約の手数料とは?

サブリースは、不動産管理会社が空室リスクを引き受ける分、手数料を多く支払う仕組みです。

ここでは、サブリース契約の手数料の相場や礼金について解説します。

手数料の相場

サブリース契約では、家賃から保証料を差し引いた分が手数料です。

保証料と家賃が同じ金額であれば、不動産会社の利益がなくなるため、保証料は家賃の80〜90%に設定されます。つまり、手数料は家賃の10〜20%が相場です。

通常の管理委託では管理手数料の相場は5%であることから、空室リスクを引き受けるサブリース契約はそれよりも高い金額です。

不動産管理会社によって契約内容が異なるため、お互いがしっかり納得した上で手数料を設定しましょう。

礼金や更新料は?

サブリース契約では、退去時の原状回復費として使用することが多い敷金は、不動産管理会社が預かります。礼金も管理会社の取得となります。

またサブリース契約が終了した場合、不動産管理会社が預かっていた敷金や礼金の引き渡しでトラブルになるケースもあります。契約時に双方で確認することでトラブルを防止できます。

更新料に関しても、基本的には不動産管理会社が受け取ります。

手数料以外にかかる費用

電卓を持つ女性

サブリース契約で不動産経営をする場合、手数料以外にも費用がかかります。たとえば、老朽化による建物のメンテナンス費用や原状回復費用は手数料には含まれません。

また、免責期間のローン返済や家賃引き下げといった、間接的な負担も存在します。

共用部のメンテナンス費用

サブリース契約でも、共用部の清掃や光熱費、雑草の処理といったメンテナンス費用はオーナーが負担しなければいけません。

ただし、共用部のメンテナンス費用がサブリース契約の手数料に含まれているケースもあります。不動産管理会社の考え方によって、共用部のメンテナンス費用の取り扱いが異なるため、契約時にしっかり確認しておきましょう。

老朽化による修繕

建物の老朽化による修繕費はオーナー負担です。備え付けの家電製品や水回りの設備などは、老朽化すれば交換や修理が必要です。

これらの費用は、共用部のメンテナンス費用と比較しても金額が大きくなるため、資金計画の中で想定しておく必要があります。

契約によっては、毎月の手数料に老朽化による設備交換費用を含めているケースもあります。不動産管理会社と相談して、どのように修繕費を支払うのか検討しましょう。

原状回復費用

入居者が退去したあとの原状回復費用もオーナー負担となるケースがあります。

ハウスクリーニングや入居者の故意や過失による補修であれば敷金でまかなえますが、入居者の故意や過失以外での傷や老朽化による修復費用についてはオーナーに請求されます。

修繕箇所によっては数十万円の費用がかかるケースがあるため、契約時に原状回復費用をだれがどこまで負担するのか確認しましょう。

免責期間のローン返済

直接的な費用ではありませんが、免責期間のローン返済も手数料以外の負担です。

新築物件の場合、はじめから空室が埋まることが難しいことから、一定期間は家賃保証がない「免責期間」を設定するケースがあります。

その場合、空室が埋まっていたとしても家賃保証が発生しないため、ローン返済は自己資金から支払わなくてはいけません。

免責期間の内容は不動産管理会社によって異なります。

家賃引き下げによる収入減少

家賃引き下げによる収入減少も間接的な負担です。一般的にサブリース契約では、2年に一度の周期で家賃の見直しが発生し、不動産管理会社から家賃の引き下げを提案される可能性もあります。

物件の老朽化や周辺物件の影響により、物件の価値自体が下がることが理由です。

家賃が下がればオーナーの収入も当然下がります。そのため、資金計画の時点で家賃引き下げを想定しておくことが必要です。

リノベーションにより物件の価値を上げることで、家賃の引き下げを防ぐこともできますが、その場合リノベーション費用が発生します。

家賃を下げるのかリノベーションするのかは、ローン返済に大きく影響します。計画段階でしっかり検討しておきましょう。

管理委託契約との違い

ここまでにサブリース契約で発生する費用について解説してきましたが、管理委託契約の場合と比べてどのような違いがあるのでしょうか。

契約内容の比較

サブリース契約と管理委託契約の契約内容について比較していきましょう。

サブリース契約 管理委託契約
入居者管理 不動産管理会社 不動産管理会社
手数料 家賃の10~20% 家賃の5%
空室保証 保証あり 保証なし
家賃設定 不動産管理会社 オーナー
入居者の選定 不動産管理会社 オーナー
 

入居者管理を不動産管理会社が行うことには違いはありません。手数料の差もありますが、大きな違いは空室保証です。空室保証がサブリース契約の最大のメリットといえます。

ただし、空室リスクを不動産管理会社が引き受ける代わりに、家賃設定や入居者の選定の権限も不動産管理会社が持ちます。オーナーの考えとは開きがある家賃設定や、好まない入居者が入ってくる可能性があることを理解しましょう。

収入の比較

サブリース契約と管理委託契約の収入を比較していきましょう。

一般的なサブリース契約では、新築の場合は家賃の約10%がサブリース手数料です。管理委託契約では、家賃の約5%が管理委託手数料として発生します。

サブリース契約と管理委託契約の収入を、以下の条件を用いた具体例で比較してみましょう。

条件(1カ月)
家賃 60,000円
管理費 4,000円
サブリース手数料 10%(サブリースの場合)
管理委託手数料 5%(管理委託の場合)
戸数 4戸
 

サブリースの場合の収入例

1戸あたりのサブリース手数料=家賃+管理費:64,000円 × 10%=6,400円

戸数:4戸 × (家賃:60,000円+管理費:4,000円-サブリース手数料:6,400円)
=手取り収入:230,400円

管理委託の場合の収入例

戸数:4戸 × (家賃:60,000円+管理費:4,000円-管理委託手数料:3,200円)
=手取り収入:243,200円

上記のように、サブリース手数料と管理委託手数料の差額分だけ、管理委託の方が手取り収入が高くなります。

サブリース契約の物件は空室リスクを減らすため、周辺の家賃相場よりも、わずかに低い家賃に設定されるケースもあります。その場合、収入の差はさらに大きくなります。

ただし、これはあくまでも空室がない場合です。上記の条件で空室が1室あった場合、管理委託の収入は一部屋分減ります。

どのような物件でも必ず空室が発生しますが、サブリース契約には家賃保証があるため空室の影響を受けません。収入の安定という面ではサブリース契約の方が安全といえるでしょう。

また、サブリース契約では、管理委託手数料を含んだサブリース手数料とする不動産管理会社と、管理委託手数料とサブリース手数料を別々に請求する不動産管理会社があります。契約時に手数料の内訳を入念に確認しましょう。

自分に合った経営方法を選ぼう

不動産経営は自身に合った経営方法を選択することが成功の近道です。不動産業界のノウハウがあり、時間の確保もできるのであれば、管理委託でも成功できます。

しかし、不動産業界のノウハウもなく、時間の確保も難しいのであれば、サブリース契約の方が成功する確率は上がります。

サブリース手数料は安心手数料と思えば、決して高くはありません。まずは専門家に相談し、自身に合った経営方法を選択しましょう。


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