賃貸管理コラム
カテゴリー: アパート・マンション経営
余った土地の活用や節税対策として、賃貸経営はよく知られる手段です。その一方で、「アパート経営は儲からない」「アパート経営に失敗した」という話も耳にします。
しかし、賃貸経営に失敗するケースの多くは、明確な原因があります。適切に対策をすれば、アパート経営の成功率を大きく上げられます。
賃貸経営で失敗する原因と対策を詳しく解説します。賃貸経営を検討されている方や興味があるけれど失敗しそうで不安という方は、ぜひ参考にして儲かる賃貸経営を実現させてください。
賃貸経営で失敗する原因はさまざまですが、なかでもありがちな10の失敗と原因について、具体的な対策と併せて紹介します。
物件選びは、賃貸経営の要です。多くの方が注力する部分ですが、間違った認識や安易な考えから、物件選びで失敗しているケースは多く見受けられます。
具体的には、以下のような事例があります。
賃貸物件の需要には、立地や設備、外観、家賃、初期費用(敷金・礼金)など、さまざまな要素が関わってきます。これらがそのエリアに居住したいと考える人にマッチしなければ、どんなに魅力的な物件でも空室は埋まりません。周囲の賃貸物件に比べて見劣りしたり、反対に立派な設備で家賃が高すぎたりしても問題です。
また、実際に賃貸物件入手に向けて動き出すと、「高利回り」という物件を紹介されることもあります。実際の利益よりも多いと思い込まされたり、新築したばかりと思わされたり、言葉のマジックにだまされて物件選びに失敗するケースもあり、注意が必要です。
賃貸物件選びで失敗しないためには、主に2つの対策が考えられます。
リサーチすることで賃貸物件に対するさまざまなニーズが明確になり、物件選びの方針も定まります。
また、複数の物件を比較すると、「高利回り」といった言葉のマジックにも引っかかりにくくなるでしょう。
よく調査し、焦らずじっくり検討することが大切です。
アパートのような賃貸物件は、空室が少ないほど収益が上がります。
しかし、熱心に満室状態にしても、その状態がいつまで続くかわかりません。運悪く同時期に複数の転居者が出ると収益も一気に目減りし、借り入れの返済に苦慮する事態もありえます。
賃貸経営で失敗しないためには、常に空室リスクに備えておく必要があります。
空室対策には、3つのポイントがあります。
解約の予定をあらかじめ知っておけば、前もって次の入居者募集に向けて行動できます。
日ごろから入居者と良好な関係を築いておけば、先々の予定を確認できるかもしれません。人生の節目に転居することが多いため、さり気なく聞いてみるのもよいでしょう。また、解約予告期間を早めに設定しておくと安心です。
入居者募集を効率的に行うには、以下のようにさまざまな手段があります。
近年はフリーレントが注目を集めており、競合他社との差別化に有効です。
また、引っ越しは手間と時間、コストがかかるため、入居者としても頻繁に行いたいものではありません。賃貸物件が魅力的であれば、転職などで多少の不便が生じてもそのまま住み続ける人は多いでしょう。
具体的には、以下のようなポイントで判断されます。
入居者の立場で検討してから導入しましょう。
ほとんどのオーナーは、賃貸経営を始めるために多額の借り入れをします。
しかし、好条件で賃貸経営を開始できても、すぐに満室になるとは限りません。返済に追われて経営を圧迫し、借金だけが残ってしまうケースもあります。
借金が原因で賃貸経営を失敗しないためには、自己資金も用意しておきましょう。ローンの頭金として使うほかに、当面の返済分として現金を用意しておくと安心です。
物件を入手する際も、新築や設備の豪華さにこだわらず、費用を抑えたうえで魅力的な物件を狙います。ただし、地域や物件の築年数、ターゲット層などによって需要がある物件の条件は変わるため、総合的に判断したうえで初期費用を抑えることが大切です。
多額の借り入れにも通じますが、賃貸経営はどんぶり勘定で健全な運営はできません。空室ができて急に収益がダウンするおそれがあるほか、突発的にまとまった費用が必要になることもあります。
賃貸経営では、下記3つの出費が随時必要です。
想定外の出費で考えられるのは、大がかりな修繕が必要になった際、一時的に入居者へ別のアパートやホテルなどへ移ってもらうようなケースです。建物の修繕はオーナー責任のため、場合によっては慰謝料などが発生する懸念もあります。
管理維持費が少なく見積もられていたり、想定外の出費に備えていなかったりするなど、ずさんな資金計画だと、いざというときに対処しきれずに経営が傾く危険があります。
賃貸経営の資金計画に関する注意点は、以下のとおりです。
資金計画には、税制面の知識も必要なため、専門家に相談しながら検討することをおすすめします。
管理や修繕の費用は物件の耐久年数や老朽化に応じたものにしましょう。ある程度前倒しで修繕計画を進めると、入居者からの信頼を得られます。
また、賃貸経営が順調であっても、安易に物件を増やしたり、規模を大きくしたりするのは控えます。リフォームなどの追加投資は新規募集に効果的ですが、常にリスクがあることを念頭に、余裕のある時期に行うのがおすすめです。
賃貸経営は、満室になったら終わりではありません。空室がない状態を維持するのにも工夫が要ります。ずさんな経営計画で失敗しないように注意しましょう。
たとえば、人気エリアでも、オーナーの自宅から遠く土地勘がなければ、近隣トラブルや周辺状況の変化に対応しきれません。気づいたら空室だらけ、では経営は傾いてしまいます。日ごろのメンテナンスもままならず、入居者の状況も把握できないでしょう。
オーナーは空室対策に注力しがちですが、入居後の対応も賃貸経営においては重要な項目です。適切な経営計画で安定した収益を目指しましょう。
物件は、土地勘があり、通いやすい場所を選ぶのがベストです。エリアの特性を把握していれば近隣トラブルの解消も早く、また未然に防ぐことも可能です。
物件の周囲を定期的に掃除して入居者から不便がないか聞き出したり、近隣住民と交友を図ったりしておくとよいでしょう。
健全な経営計画には、ほかにもさまざまな要素が加わります。あらかじめ不動産経営のノウハウについて学んでおくことが肝心です。難しいと感じるようであれば、管理会社に委託するのも選択肢のひとつとして検討してみましょう。
管理会社へ委託するのも有効な手段として挙げましたが、委託したことで賃貸経営に失敗する事例もあります。
上記のようなケースもあり、専門家に任せてしまえば安心というわけにはいきません。
管理会社に委託する場合でも、オーナーとして適切に運営されているかを、物件への定期訪問などを行い、随時確認することが大切です。
また、管理会社に依頼するときは、以下などを心がけましょう。
任せきりの賃貸経営は危険です。信頼できるパートナーを選んだあとも定期的なチェックを欠かさないようにしましょう。
賃貸経営の中でも対応が難しいのが、以下のような入居者トラブルです。
家賃の滞納や夜逃げといった問題は、収益に直接的に影響します。また、近隣住民とのトラブルは、賃貸経営の存続を危ぶませる可能性も秘めているため注意が必要です。
入居者トラブルを回避するには、入居者や近隣住民と良好な関係を築いておくのが効果的です。
具体的には、以下のような手段があります。
家賃の滞納や夜逃げは、物件への定期訪問で生活の様子を把握して、早めに対応できるようにします。ポストに郵便物がたまっていたり、仕事をしている様子がなかったりといった生活の変化を知ることがポイントです。
近隣住民の苦情は、不満を早めに聞き出すことで大きなトラブルに発展する前に早期解消を目指します。
状況によっては、法的手段を取る必要もあります。いざというとき、すぐに弁護士に相談できるようにしておくとよいでしょう。犯罪に巻き込まれていると考えられるケースでは、ためらわずに警察に相談することも大切です。
賃貸経営が順調に回りだしたら、家賃相場の変動にも目を向けましょう。周辺地域の家賃相場が下落している場合、更新のタイミングで解約が続出する危険があります。
反対に周辺の相場が上昇している場合は、現状維持を続けるのもリスクがあります。何か安くしなければならない理由があるのではと、マイナスイメージをもたれることがあるためです。ただし、家賃を上げる場合は、客観的に納得できる材料を用意し、入居者の理解を得る必要があります。
短期間で家賃相場が大きく変動することはほとんどありません。入居者の更新や新規募集のタイミングに合わせて定期的に確認するとよいでしょう。
家賃を見直す際は、相場だけでなく築年数や設備の老朽化なども加味しながら総合的に判断する必要があります。
状況によっては、リフォームや追加投資も検討します。資金繰りの判断が難しい場合は、専門家に相談しましょう。
アパートなどの賃貸経営は、節税対策としてもよく知られています。そのため、節税目的で賃貸物件を購入する人も多くいます。
ところが、以下のようなことを想定していない安易な経営によって、節税どころか赤字になるケースもあります。
根本的な問題は、「安易な賃貸経営への参入」にあります。節税効果を得るにはさまざまな条件があり、ただアパートを貸すだけでは実現できません。また、オーナーの責任としてきちんとした賃貸経営も必要です。
節税目的であっても、以下などを心がけて、責任をもって運営しましょう。
また、購入する物件によって節税効果が違うため、購入前に専門家に相談するのがおすすめです。
どういった失敗でも、間接的な原因として知識不足があります。不動産や賃貸経営の知識が乏しいために、適切な運営ができていないといえます。
また、知識不足は間違った対応を招き、トラブルが起きた際に問題をさらに大きくしてしまうおそれもあります。金銭的な出費がかさむだけでなく、法的処罰を受ける懸念もあるため、知識不足は早急に対応しましょう。
知識不足は自己努力で補えますが、時間がかかります。必要な知識を効率よく学ぶ工夫も必要です。
具体的には、以下のような方法で賃貸経営の知識を得られます。
インターネットやSNS、オンラインサロンは手軽で便利な方法ですが、間違った知識を与えられる可能性もあるため、注意が必要です。専門書やセミナーを活用しながら、専門家に相談するのがおすすめです。
賃貸経営を成功させるためのポイントは、大きく分けて以下の5つあります。
また、失敗しないためにサブリース方式で運営するという方法もあります。
賃貸経営で成功するための重要ポイントを改めて確認しておきましょう。
アパート経営で失敗する多くのケースが「お金」に関係しています。中でも、賃貸物件を用意する初期投資は大きく、土地はあっても現金がないといった事情から多額の借り入れをするオーナーは少なくありません。
しかし、自己資金が少ないと経営を圧迫するおそれがあり、ずさんな資金計画では物件の修繕などが必要になった際に資金不足に陥る危険性もあります。
資金の計画と準備には余裕をもって、借り入れは慎重に行いましょう。
物件選びは、入居者募集に直接影響します。見栄えや設備のよさだけでなく、立地や周辺の環境、家賃などの要素もバランスよく満たされている必要があります。同時に、オーナーにとって管理しやすい物件である点も欠かせないでしょう。
賃貸経営する物件は、簡単に替えられるものではありません。丁寧なリサーチで需要に見合った物件を選ぶことが大切です。
賃貸経営は空室が埋まれば終わりではありません。入居者のトラブルを未然に防ぎ、退居者や家賃滞納のリスクを回避するためには、フォローやメンテナンスが必要です。維持や管理が適切に行われていれば、いざというときに早めの対応ができます。
ただし、賃貸物件を適切に維持と管理をするには、専門的な知識と経験が必要です。入居者への対応が苦手なオーナーもいることでしょう。
維持と管理をするのに適した経営方法を、メンテナンス費用も含めて事前によく検討し、準備しておくのがおすすめです。
賃貸経営で失敗しないためには、以下のようなさまざまなリスクに対策しておく必要があります。
リスク対策の方法や手段、起きてしまった際の対処方法などは、実際に賃貸経営の経験がある人や専門家でなければわからないものがあります。あらかじめ相談しながら準備を進めるのがよいでしょう。
また、わずかな可能性であっても「まさか」が起こると想定し、心の準備をしておくことも肝心です。
賃貸経営では、不動産知識が必要です。賃貸物件に関することから、入居者トラブルに関係する民法(民事の事例)、物件のある地方公共団体(自治体)の条例もよく調べておきましょう。
必要な場面に出くわしてから学んで対応することも可能ですが、迅速な対応が求められるケースもあります。その際に無知から安易な対応をしてしまうと、後々に大きな問題となるおそれがあります。賃貸経営で失敗しないために、十分に知識を蓄えておきましょう。
賃貸経営にはさまざまな要素があり、簡単ではありません。しかし、安定して一定額以上の賃料を得ることができれば、賃貸経営は成功といえます。この条件を第一とすると、専門家に管理を任せる方法の中でも、「サブリース」という手段が理想の形に近いのではないでしょうか。
サブリースとは、サブリース会社が賃貸物件を一括借り上げする方法です。オーナーはサブリース会社へ物件をまるごと貸し出し、サブリース会社が個々の入居者へ転貸します。物件はオーナーの物ですが、入居者へ貸し出すのはサブリース会社のため、賃貸経営に関係する手続きや業務などはすべてサブリース会社が担います。
そのうえ、オーナーには入居者の有無に関係なく一定額の支払いが保証されます。賃貸経営のリスクを軽減して一定額以上の収益が約束されるため、賃貸経営の知識や経験に乏しい人にもおすすめの方法です。
サブリースにも、当然ながらメリットだけでなく、デメリットもあります。しかし、条件のよい選択肢のひとつとして考えてはいかがでしょうか。まずは専門家に相談し、正しい知識や条件を知ることから始めてみましょう。
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