賃貸管理コラム

サブリース付き区分マンション投資のデメリットや注意点!儲かるのは不動産会社?

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不動産を賃貸管理会社が借り上げ転貸するシステムである「サブリース」ですが、
「解約したい」「やめとけ」など多くのネガティブな声もあります。

サブリース付きの区分マンション投資を検討するのであれば、サブリースのメリット・デメリットを把握したうえで進めるべきです。

区分マンション投資におけるサブリースの注意点やポイントについて解説します。

不動産会社が区分マンションのサブリースをすすめる理由


サブリースをすすめる不動産会社は多いです。これは不動産会社がサブリースによって収益を得ているためですが、すべてのサブリースがだましの手口とか悪とかというわけではありません。

マスターリースとも呼ばれるサブリースはオーナーにもメリットがあり、上手く活用できれば管理や経営を管理会社に任せつつ、安定収入を得られます。

一方、サブリースではきちんとした利益が生み出せないのに、高利回りが実現できるようにみせかけた悪質物件があるため、特に注意が必要です。

このような悪質物件では、家賃の下落リスクが考慮されていなかったり、サブリースの仕組み自体が成立していない内容になっていることがあります。

間違いのない不動産投資を実現するためには、サブリースのデメリットや注意点をきちんと把握しておく必要があります。

サブリースのデメリットと注意点


サブリースのデメリットといわれる問題点は大きく分けて3つあります。

  • 解約が難しい
  • 次に売却しようとしたときに困難
  • 倒産リスクがある

これらの項目に関する内容は、多くの場合契約書に記載されています。
契約時にはこの問題にかかわる条項について、ひとつひとつチェックしておくことが肝心です。

解約が難しい


そもそもサブリース付き物件は、サブリース契約を解消することが難しいとされています。

サブリースの解約が難しい理由は、サブリースという仕組み上、所有者が貸主、借主が不動産会社となるため、借地借家法上の「借主保護」の観点から、所有者であるオーナーよりも、借主である不動産会社のほうが保護される立ち位置となるからです。

サブリース付き物件では、オーナー側から一方的(という判断がなされる)に借主を追い出すなどの行為ができない仕組みになっています。

解約の申し入れにはオーナー側の解約せざるを得ない事情(正当事由)が必要とされ、また事前告知はどんなに遅くても6カ月前には催告されていなければなりません。

正当事由としても、オーナーやその身内がその物件を使用する場合や、建物の老朽化で取り壊す場合などの事情を総合的に鑑みたとき、正当事由と認められない場合は解約申し入れができない仕組みとなっています。

また、解約の折に違約金が発生するケースも多く見られます。
サブリース付き物件を検討する場合には、契約内容を理解し不明点は確認しながら進めるようにしてください。

次に売却することが難しい


サブリース付き物件は売却も難しいとされています。
前述の「サブリースの解約が難しい」点も売却の難しさの理由に挙げられますが、ほかにも理由があります。

サブリース付き物件を売却する折には、サブリース契約そのものも購入者に引き継がれますが、このとき、購入者はたいていの場合投資家となり、利回りの低さがマイナス評価を受けます。

利回りは利益判断の重要な指標です。自主管理の場合は管理手数料が不要ですが、管理委託の場合、売上の5%が相場です。たとえば、年間家賃が500万円の5,000万円の物件は表面利回り10%です。

しかし、サブリース手数料が20%(一般的な相場)の場合、実質家賃は400万円に減少し、表面利回りは8%に下がります。投資の世界では2%の利回り低下は悪印象を与え、購入者の評価は低くなる傾向があります。

結果として、思うような価格で売却できないとか、売りたくても売れないという状況に陥ってしまうのです。
サブリース付き物件を売却するのであれば、値引き交渉があることを想定したうえで、売却希望価格よりも少し高めの価格設定で市場に出したほうが間違いはないかもしれません。

倒産リスクがある


区分マンションのサブリース運営をしていた不動産会社が倒産するリスクがあることを忘れてはいけません。
不動産会社がすすめるサブリースシステムは、基本的には不動産会社に収益をもたらすものではありますが、管理物件の入居率の低さなどにより、管理会社が倒産に追い込まれることも想定されます。

管理会社が倒産した場合は、入居者から回収した家賃がオーナーへ送金されない、点検、清掃などの通常管理業務が行われなくなるなど、さまざまな問題が発生するおそれがあります。

管理会社が倒産した場合、別の管理会社を探したり、見つかるまでの間は自分で物件管理をしなくてはなりません。
特に入居者から苦情などが発生したり、ライフライン系で問題が起きた場合には、24時間体制で自主管理していく必要があります。

サブリースとは?管理委託との違いも


そもそもサブリースとはどのような仕組みのことをいうのでしょうか。
また、それは管理委託とはどの点で違うのでしょうか。

サブリースでは不動産会社が入居者から家賃を回収し、家賃収入から物件の管理運営を行いつつ、決まったサブリース賃料を所有者に支払っていきます。

一方、管理委託はその物件の所有者と管理契約を結ぶことで、所有者が行うべき物件の管理運営を請け負い、所有者が受け取る家賃収入から管理委託料を支払ってもらいます。

つまり、サブリース方式は所有者になり替わって主体的に物件の管理運営をしていく方式であり、管理委託方式は物件の管理運営の主体は所有者にあり、不動産会社は委託された業務の手数料を受け取りながら物件の運営の支援をしていく方式であるといえるでしょう。

サブリースの種類


サブリースシステムには、パススルー型と家賃保証型の2種類があります。
それぞれのメリットについてご説明します。

パススルー型のメリット


パススルー型サブリースでは、空室時には賃料が保証されないものの、回収した賃料に応じた収入が支払われます。

サブリース会社が入居者との賃貸借契約を締結するため、建物オーナーは入居の度に生じる手間が省けます。

家賃保証型のメリット


家賃保証型サブリースでは、文字通り、決まった賃料支払いが保証されているため、入居者や修繕の有無にかかわらず、安定的に一定賃料が支払われるというメリットがあります。

サブリースはどんな人におすすめ?


解約や売却の難しさ、倒産リスクさえあるといわれるサブリースですが、どのような人なら利用できるのでしょうか。

第一に、サブリースシステムの内容やリスクをしっかりと把握できる、ある程度不動産投資の知識や経験を持っている人が挙げられます。

このような人はすでにいくつかマンションやアパート、借家などを所有している場合が多く、区分マンションは投資の一部ととらえられる人が大半です。

自己管理できるものとサブリース物件とを同時所有して、経営の安定をはかるサブリース物件と収益性をあげる自己管理物件で相互補完しながら資産運用できる人ならサブリース物件の所有にもストレスは感じないでしょう。

第二に、この区分マンションをオール自己資金もしくはそれに近いくらいの資金投資をして購入している人が挙げられます。

そもそも借入がない、もしくは少額借入であれば、サブリース方式であったとしても倒産リスクはほぼありえません。
将来的に起きる大規模修繕などに備える積立などが準備できていれば、手間いらずのサブリース方式にメリットを感じやすいでしょう。

第三に、所有物件から離れたところに住んでいて、日常的な管理運営が自分でできない人が挙げられます。

不動産投資はある意味フリーエリアなので、資金繰りさえできれば、購入したいエリアで区分マンションの入手自体は可能です。

しかし実際の管理運営となると、遠方からではなかなか立ち行かない場面があります。このような物件の場合、すべて不動産会社に一任できるサブリース方式は有効に働きます。

区分マンション経営は儲からない?

そもそも区分マンション経営は儲かるのでしょうか。市場に照らし合わせて解説していきます。

マンション・アパートオーナーの年収


マンションやアパートオーナーの年収は一般的にどのくらいでしょうか。

区分マンションは1部屋のみの購入が可能なため、部屋数によって年収が変わります。エリアにもよりますが、1部屋のみの購入で平均年収は約30〜70万円です。

一棟マンションの平均年収は約700万円〜1,200万円とされています。物件の規模により変動しますが、多くのマンション経営者が不動産所得の平均値を超えているようです。

国税庁の調査によると、令和2年のアパート経営の平均年収は約540万円です。

令和元年は約521万円、平成30年は約518万円、平成29年は約517万円、平成28年は約512万円と年々アパート経営の収入は増加しています。

これらは一棟収益のものため、区分マンションのケースでは数十万円から数百万円が収入となるでしょう。

不動産投資市場は伸びている


不動産投資市場の見通しとしては、これまでと変わらず上昇傾向にあるといえます。

不動産投資を実現するには多くの場合融資を受けなければならないわけですが、政策金利の利上げがあると予測されつつも実際には「わずかに、徐々に、慎重に」というスタンスで進められる程度と予測されています。

上昇の予測が続きつつも低金利が続いている現状では、金利動向による投資市場への影響は少ないと考えられています。

一方、住宅賃料は都市部を中心に上昇傾向にあり、昨今の物価上昇にあわせて賃料上昇が進んでいます。
この事実は特に賃貸住宅投資にはポジティブに働くため、投資家の賃貸住宅への投資意欲は引き続き旺盛で、「金融機関が融資さえしてくれたら投資は進めていきたい」と考えている投資家は多いとみられています。

結果として、不動産投資市場への影響はプラス方向に働いており、上昇志向は続くと考えられます。

区分マンション経営のメリット!一棟マンションや戸建てと比較


区分マンションへの一番の投資メリットは、金融機関からの借入をおさえ、不動産投資の初心者であっても比較的簡単に取り組んでいける点にあるでしょう。

10室を超える規模の一棟マンションであれば、郊外で建築・購入するとしても1億円を超える投資が必要になる場合もあります。

もちろんそれによって、より多くの収益を得ることができ、安定的な事業性も確保できますが、スタートするのにハードルが高くなります。

一方、区分マンションは1室ずつ増やしていけるため、経営エリアを分散させることで、立地条件によるリスクを減らすことができます。
好立地物件が順調に収益をあげていれば、経営がかんばしくない物件を手放し、買い換えを検討していくことも可能です。

その意味では戸建て借家にも同じことがいえますが、戸建て借家の場合、一棟にかかる経費が大きくなるケースが多いです。
特に入退去時にかかる修繕費は、一棟の住宅であるだけに修繕費が多額になり、所有者の負担が増大する傾向にあります。

区分マンション経営で成功するには?


区分マンション経営で成功するにはいくつかのポイントがあります。
順にお伝えしていきます。

市場調査をきっちり行う


全国の中小不動産会社で構成されている、公益社団法人・全日本不動産協会のホームページ内の「不動産お役立ちQ&A」には、不動産にまつわるさまざまな疑問に対しての専門家からのアドバイスが掲載されています。

記事には「その建物(部屋)の入居者ターゲットを明確にし、そのターゲット層に対しての入居促進アプローチをかけていくことが空室対策として有効である」ことが示されています。

入居者ターゲットを明確にするには、マーケットリサーチが必須です。

建物(部屋)があるエリアが「住みたい街」として人気があるのかから始まって、シングル層向けの建物(部屋)なら、近くに商業施設や美容院などの利便施設がそろっているか、ファミリー層向けなら、学校や病院などの公共施設は充実しているか、どちらの層にもいえる、公共交通機関までの距離など、きちんとした市場調査を行いましょう。

適切な管理会社を選択する


区分マンションにしても一棟マンションにしても、事業を成功させるために必要なのは優良な入居者です。
所有している区分マンションに良い入居者を入居させ、良い建物管理をしてもらうためには、所有者とともに手を携えて、マンション経営に専念してくれる管理会社を見つける必要があります。

空室が埋まらなければ、ネット広告を出したり、入居促進にアプローチする新たな手法を検討してくれるような管理会社を探しましょう。
場合によっては担当者を変えるくらいの気概を持った管理会社だと、大切な物件を預けるオーナーとして安心感を得られるでしょう。

しっかりとした空室対策を講じ、オーナーが空室リスクとローン返済の苦難を感じなくて済むようにしてくれる管理会社を見つけるのは非常に困難です。
マンション経営をしているのは自分自身であることを認識し、管理会社に任せきりにしないという思いで経営に向き合っていく必要があります。

管理会社に委託する業務が多くなるほど、管理費用が高くなります。
その費用をかけても委託する価値があると感じられるような管理会社を見つけたいものです。

黒字化までをシミュレーションする


そもそも不動産投資は最初の数年間〜10年間程度は赤字での運営となることがほとんどです。
これは当初の3年間は経費計上される項目が多く、投資を始めたときに投入した自己資金の回収などを考えると、実質赤字経営になってくるからです。

このため、オーナーはマンション経営が黒字化されるまでをシミュレーションし、より早い段階で黒字化できるように、様々な工夫をしていく必要があります。

黒字化するための手段としては次のようなものがあります。

  • 金利や借入期間などの融資条件が有利な金融機関を選ぶ
  • 長期的に安定した経営が見込めるエリアでマンション経営をする
  • 良質な管理ノウハウを持つ管理会社とお付き合いする

マンション経営は長期にわたる事業です。
また、決してハイリターンな投資ではなく、ミドルリスク・ミドルリターンといわれる投資であることを忘れてはいけません。
長期に安定した経営を実現するための努力を継続して行っていく必要があるのです。

マンション経営をスタートしたら費用対効果を分析する


マンション経営をスタートしてからは、かかる費用がいかに経営に効果的に働くかを考えていかなければなりません。
たとえば空室対策として、管理会社からはいろいろな提案があることでしょう。
中には、追加設備を取り付けることを提案されたり、仲介手数料や広告宣伝費の増額をリクエストされるかもしれません。

しかし、その設備を取り付けたからといって、即座に入居が決まる保証はありません。
次に住む入居者が希望していない限り、その設備が絶対に必要かの判断は難しいでしょう。
管理会社が、私たちは空室対策を考えています、という姿勢を見せるためだけに、効果のない提案をしている可能性だってあるのです。

どうせお金をかけるなら、投資した効果があったと感じられるものに投資したいと考える方がほとんどでしょう。
間違いのない対策を講じるためにも、費用対効果を検討し続けることが大切です。

既存の入居者も大切にする


マンション経営では空室対策に目が向いて、住んでくれている入居者への対応をおろそかにしがちです。
しかし実際には、空室分のマンション経営を補填し続けてくれているのが既存の入居者なのです。

この事実を忘れず、既存の入居者を大切にしましょう。
最近は年1回、オーナーから入居者へのプレゼントを実施する例もあるようです。
入居促進とともに、入居維持に対する意識も持ちながら、マンション経営を進めていきましょう。


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