賃貸管理コラム

管理会社を変えたい!変えるべきケースやスムーズに変える方法を紹介

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管理会社を変えたいと大家さんが感じる場合、あるいは変えるべきと判断されるケースとはどのようなときでしょうか。管理会社の変更によりこれまでの賃貸管理のありように多少の変化が生まれます。

管理会社を変更するには目的がありますが、目的以外の部分で想定外の変化が生じる場合もあり、判断は慎重にしなければいけません。

管理会社を変えるべきケースやスムーズに変える方法について紹介します。

管理会社を変えたい!変えるべきケースとは

管理会社を変えるべきケースと変更を合理的に判断するための考え方を解説します。

客付けが弱い

管理会社には2つのタイプがあります。

  • 賃貸管理専門
  • 賃貸管理と賃貸仲介を兼業

賃貸管理だけを専門とし、客付けは仲介会社に依頼する会社と、賃貸管理と賃貸仲介を行う会社で自社における仲介に加え、他社の仲介も利用しながら客付けする会社です。

賃貸管理専門の会社は仲介会社の協力がないと客付けで苦労することが多いため、客付けのためのネットワークは入念に作り上げます。

管理と仲介を兼業する会社では次のように2つの客付けパターンがあります。

  • 自社管理物件を自社で客付け
  • 他社からの紹介により自社管理物件を客付け

賃貸管理の専門会社と管理と仲介の兼業会社、どちらが優れているかといった比較はできませんが、客付けの力は空室対策にも影響します。

もしも現在の管理会社が「客付け」に関して弱いと感じる面があれば、管理会社の変更を検討するひとつのキッカケとなるでしょう。

入居者が原因のトラブル対応力がない

賃貸経営は不特定多数を相手にしたサービス業です。入居を希望する人は区別なく対応し、条件が整うと入居していただき家賃を受取る事業です。

入居審査によって、入居希望者を絞り込んでいますが、入居後にトラブルが発生し管理会社が対応できず、最終的に大家さんが対応し負担をするといったことがあってはなりません。

管理会社は「大家さんの代理人」としての立場になることが多く、管理委託契約書においても代理権について明記する契約書もあります。

つまり管理会社は、ときには大家さんの代理人となり入居者などとの紛争を解決する当事者となります。対応力のない管理会社ではいざというときには頼りにならず、管理会社の変更を検討する必要性が出てくるでしょう。

効果のある空室対策ができない

空室対策は管理会社の重要な役割です。

  • 入居条件の緩和
  • 初期費用を軽減
  • 広告料の増額
  • オンライン内見やセルフ内見の導入
  • ホームステージングの実施
  • ニーズの高い設備類の導入

上記のように、さまざまな手法があり大家さんの金銭的負担も少なくありません。

空室対策を実施して効果がでず複数の方法をくり返した結果、空室率が改善しないようであれば、空室が埋まらない根本的な原因があると考えられます。

  • 対象とする客層と物件の仕様やグレードそして家賃設定がミスマッチになっている
  • 物件が存在するエリアには対象となるニーズがない

このような場合は根本的な問題を解消しなければなりません。たとえばリノベーションの実施により物件を再生させる、あるいは出口戦略として売却するなどの方法です。

管理会社は管理業務を委託されることによりビジネスが成立しています。物件の再生や売却は収益を低下させる提案であり、なかなかできることではありません。

しかしながら、管理会社はプロパティマネジメントの領域を超えたアセットマネジメントの視点から、大家さんの所有物件を管理する必要もでてきます。そのような立場であれば、物件の再生や売却といった提案は当然のことであり、大家さんが求める管理会社のあり方ともいえるでしょう。

管理会社を変えるべきなのに、そのまましておくとどうなる?

管理会社の変更をせず継続していると、問題として認識されていることが解消せずにさらに問題が拡大し、取り返しのつかないことになってしまいます。

空室率が改善せず経営悪化

空室率の改善がされずに時間が経過すると、経営状況は悪化していきます。

家賃は経年により下落するのが賃貸市場の定理といわれます。理由は建物の経年劣化であり避けてはとおれません。

空室率が改善されない場合は、家賃下落分が収益減となります。さらに大規模修繕などの再投資も必要になりますが、収益が減少している中での大きな投資は大家さんにとって重い負担となるでしょう。

空室率の改善は賃貸事業を継続するうえで必ず行うべきことであり、改善される見込みがなければ出口戦略を前倒しし、早めの売却を検討する必要もでてきます。

委託管理の実効性がなく負担増

大家さんが自ら管理する方法を選択せずに管理業務を委託する理由は次のようなものです。

  • 自主管理できる時間が取れない
  • 自主管理よりも専門業者が管理するほうが効果的

管理業務の委託は一定の費用対効果がなければ意味がありません。その効果のほとんどは空室率で評価できます。

5%前後の空室率を維持できない場合は管理委託の効果は低いと判断でき、10~15%になると改善が必要です。15%を超えると管理委託の限界と判断でき、サブリースへの切り替えも選択肢になってきます。

また空室率改善のための負担増が経営を圧迫する要因になることもあります。空室対策の実施そのものが目的化してしまい、結果のでない空室対策を繰り返すのは意味のないことです。

最適なタイミングでの出口戦略が図れない

不動産投資は開始時点で出口戦略を描くことができ、計画どおりのタイミングで売却することが理想です。

目標としたインカムゲインが蓄積され、売却による資金回収により投資の結果が評価できます。しかし「空室率の改善が見込めない」ために売却せざるを得ない状況は、出口戦略の失敗といえます。

空室率が高いため高値による売却も難しくなり、予定していたインカムゲインの蓄積が達成されていない状況は、投資戦略が誤っていたことの証です。

そのような理由から、大家さんが犯す投資戦略の誤りの1つとして、管理会社の選択が含まれるといえるでしょう。

管理会社をスムーズに変える方法

管理会社の変更は、想定外の変化やトラブルが生じる場合もあります。ここではできるだけスムーズに変更するために注意したいポイントを解説します。

管理会社への契約解除通知は適切に行う

管理会社の変更でまずトラブルとなりそうなのは、現在の管理会社との契約解除です。

管理委託は「業務委託契約」に該当するので、契約期間の途中であっても契約解除は可能です。ただし契約解除の申出は解除する日の「〇か月まで」と期間の定めがあるのが通常です。

管理委託契約書に解除の期間について明記されているので確認するようにしましょう。この期間を無視して短期間で解除しようとするとトラブルとなり、ペナルティの発生や裁判にまで発展するおそれがあります。

管理会社間での引継ぎは入念に行う

旧管理会社と新管理会社との間では次のような引継ぎが行われます。

  • 敷金および直近で集金した家賃
  • 貸室の鍵
  • 賃貸借契約書や入居者と交わした覚書
  • 法定の点検書類

とくに鍵は漏れなく引継ぎを完了しなければなりません。万が一スペアキーが旧管理会社に保管されたままになると、将来大きなトラブルになる可能性があります。

また滞納中の入居者との間で家賃支払いに関する覚書などを取り交わしている場合では、家賃滞納に関する裁判において重要な証拠になるものです。

法律で定められている定期点検報告書に関する書類も重要であり、必ず引継ぐようにしましょう。

家賃集金に関わる手続き

家賃を管理会社が管理する銀行口座に振込で集金している場合は、入居者に新しい振込先を通知しなければなりません。

また家賃債務の保証委託を利用している場合は、保証会社に管理会社の変更を通知し、事故発生通知や立替払いなどの必要な手続きが問題なく移行できるよう手続きする必要があります。

また入居者への通知は単に振込先の変更だけではなく、管理会社を変更する件について丁寧に説明し、理解が得られる方法にすることが望ましいでしょう。

なぜなら管理会社の変更はあくまでも大家さん側の都合であり、入居者にとっては家賃の振込先や相談やクレームなどの連絡先が変わるため、面倒なことであり歓迎できるものではないことを理解しておく必要があるのです。

適切な管理会社を選択する

管理会社の変更は、客付け能力、入居者トラブルの対応力、効果的な空室対策の実施が不足している場合に検討すべきです。変更を怠ると、経営悪化など取り返しのつかないことになります。

信頼性、対応力、適正な手数料、専門性を総合的に勘案し、丁寧に管理会社を選定することが賢明です。


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