管理会社の変更（リプレイス）。メリットやリスク、詳しい手順を解説

賃貸経営のパートナーである管理会社。賃貸経営の成否を分けるといっても過言ではないのが管理会社の質です。管理の対応力や費用対効果の問題から、新たな管理会社への変更を検討する場合があります。

管理会社の変更は「リプレイス」とも呼ばれます。リプレイスには、改善への期待と併せてリスクも伴います。

管理会社変更（リプレイス）の手順から成功の秘訣までを詳しく紹介します。

管理会社変更（リプレイス）の重要性

アパートなどの集合住宅においては、その建物を管理する管理会社の存在が欠かせません。管理会社は入居者の安全と資産価値を守るため、高い専門性とサービスの質が求められます。

管理会社変更（リプレイス）は物件の価値を維持し、向上させるための重要なステップであると言えます。

管理会社に求められる役割とは

管理会社は物件の維持・運営において、清掃やメンテナンスといった日常業務から、入居者の募集や審査、契約の締結、賃料の徴収や遅延支払いへの対応まで幅広い役割を担っています。

また、定期的なメンテナンスと管理を通じて、住宅の品質を維持し向上させることで、入居者に安全で快適な住環境を提供し、地域全体の住宅基準を引き上げることに貢献します。

管理会社変更（リプレイス）が検討される背景

管理会社変更（リプレイス）が検討される背景には、管理会社と貸主などの依頼側が求めるサービス内容のギャップやコストによるものなどがあります。

よくあるのが、管理会社と貸主との間で生まれる温度差です。貸主からすると賃貸物件は資産であり、経営者目線から賃貸経営について判断します。

しかし、管理会社側からすると、何十、何百とある管理物件のひとつです。そこに貸主と管理会社間で温度差が生まれ、貸主が要求するサービスや提案が得られずに、管理会社の変更を検討するケースが多いです。

管理会社変更（リプレイス）のメリット

物件の管理は居住者の生活満足度に直結するため、管理会社の変更にはいくつかのメリットが存在します。管理会社変更（リプレイス）をすることでサービス向上、コスト削減、コミュニティ活性化など、多面的に恩恵を受けられます。

サービス向上の可能性

管理会社の変更は、管理サービスの向上が期待できます。

新しい管理会社は、仕事を継続してもらえるよう、以前の管理会社よりも高いモチベーションと高いサービスを提供してくれることが多く、質の高い管理が期待できます。

いまの管理会社のサービスに不満を持っている場合は、新しい管理会社に具体的な不満を伝えることで改善できる可能性が高くなります。

コスト削減の機会

管理会社変更（リプレイス）はコストが削減できることも大きなメリットです。

新しい管理会社が、より効率的な運営体制などを提供することで、月々の管理費を削減できる可能性があります。ただし、コスト削減がサービスの低下につながらないよう、慎重な選定が求められます。

なお、管理手数料の相場は家賃収入の5％です。

空室期間・入居率の改善

管理会社の変更は、空室期間や入居率の改善にもつながります。

たとえば、退去後の入居者募集やクリーニング手配などの動きが早ければ、新しい入居者を受けいれる体制が早く整います。

また入居者のクレーム対応なども、誠実に素早く対応することで、入居者の定着につながります。

管理会社変更（リプレイス）のリスクとその対策

管理会社を変更する際、多くのメリットが期待される一方で、いくつかのリスクも存在します。管理会社変更（リプレイス）に伴う具体的なリスクと、事前に回避するための対策について解説します。

サービスの質が低下する可能性

管理会社変更（リプレイス）を検討する際、新しい管理会社の選択を適切にできずに、結果として期待するサービスが受けられないおそれがあります。

比較する会社が少なく、同じようなサービスを提供する会社だけに話を聞いていては、よりよいサービスは受けられないかもしれません。

対策としては、管理会社変更（リプレイス）を検討する前に市場調査を徹底し、複数の管理会社から見積もりを取り、比較検討することが重要です。また、実際に同じ管理会社を利用している他の賃貸物件の評判や口コミも参考にするとよいでしょう。

コストとのバランス

コスト削減を目的として管理会社変更（リプレイス）をする場合、低コストの管理会社を選択することが多くなりますが、それが直接的なサービスレベルの低下につながる可能性もあります。

たとえば、清掃の質の低下やセキュリティ体制の緩和などが考えられます。

このリスクを避けるには、低コストだけでなく提供されるサービス内容をしっかり評価することが必要です。入居者の満足度や快適性を維持しつつもコストを抑えることを目指しながら、管理会社と交渉することが望ましいでしょう。

管理会社変更（リプレイス）に伴う入居者間トラブル

管理会社変更（リプレイス）は、必ずしもすべての入居者が支持するものではありません。とくに、変更後に入居者の期待に応えられなかった場合、不満がトラブルにつながることも考えられます。

入居者間のトラブルを防ぐためには、貸主目線だけではなく入居者目線での選定を行う必要があります。また、変更後のフォローアップとして、新しい管理会社とともに入居者の声を収集し、そのフィードバックをもとにサービス改善を図ることも必要です。

管理会社変更（リプレイス）の検討から実施までの手順

管理会社のリプレイスは、賃貸物件の質を向上させたり、コスト削減を図るなどの目的で行われることが多いですが、適切な流れに沿って進める必要があります。管理会社変更（リプレイス）のプロセスを段階的に説明します。

1. 現状の把握と改善要望の明確化
2. 管理会社の選定基準の決定
3. 現管理会社との契約を解除
4. 新しい管理会社との契約交渉

現状の把握と改善要望の明確化

まずは現状の管理会社に対する評価を行い、どの分野でどのような問題があるのか、改善要望を明確にします。

たとえば、清掃の質、修繕対応の迅速性など具体的に挙げていくことで、問題点がはっきりとしてきます。

管理会社の選定基準の決定

何を基準に新しい管理会社を選ぶかを決めます。

費用の安さだけではなく、サービス内容、対応の迅速さ、透明性など、総合的に判断する基準を明確に設けます。ここで、専門家の意見を聞くこともひとつの手です。

現管理会社との契約を解除

新しい管理会社を決定したあと、現在の管理会社に対して契約終了の意向を示します。

この際、解約にあたっての具体的な手順や必要な書類は、管理委託契約の詳細および現在委託している管理会社の定めるルールに基づいて進める必要があります。

契約内容を事前に確認し、適切な手続きを行うことで、スムーズな管理会社の移行を実現しましょう。

新しい管理会社との契約交渉

解約の手続きを終えたら、新しい管理会社と具体的な契約内容について交渉を開始します。

労力を使って、管理会社変更（リプレイス）を行うため、要望の伝え漏れなどはないように注意しましょう。新しい管理会社と契約を締結したあとは、引継ぎへ移ります。引継ぎは一般的に管理会社同士で行われます。

引継ぎ後は管理会社とは密に連携を取りながら、必要に応じてフィードバックを提供することで、サービス改善を促進していきましょう。