賃貸管理コラム

自分で住む目的でサブリースの解約は可能?手続きの流れも説明

カテゴリー:


このエントリーをはてなブックマークに追加
jutakukage

サブリースは20年、30年と長期間にわたって家賃収入が保証されるため、オーナーにとって大きなメリットがある契約形態です。

しかし、当初は長期間の経営を想定してサブリースの契約をしたものの、何らかの事情で解約して自分で住みたいと考えるケースもあります。

自分で住む目的でサブリースの解約は可能なのでしょうか。基本的な契約内容から実際の手続きまで詳しく説明します。

自分で住む目的でサブリースの解約は可能?

サブリースの仕組みとして基本的なのが、オーナーがサブリース会社に所有する物件を貸出し、サブリース会社が入居者へ転貸をする形です。オーナーとサブリース会社が賃貸借契約を結び、サブリース会社が入居者とそれぞれ転貸借契約を締結します。

サブリースでは、オーナーが貸主、サブリース会社が借主の立場になります。借主は、借地借家法によって保護されており、サブリースの解約は困難と考えられます。

サブリースの解約について

まず、サブリースの解約について、解約が難しい理由など基本的な考え方を説明します。

借地借家法とサブリースの関係

借地借家法は、専門的な知識を持ちえない借主が不利益を被らないよう、悪質な地主や不動産会社を抑制することを目的としています。

つまり、貸主を法的強者とし借主を法的弱者と想定した法律ですが、サブリース契約では逆転現象が発生し、借主であるサブリース会社が保護される立場です。

そのため、オーナーから解約するには、以下の2つが求められます。

  • 「契約約款」を満たすこと
  • 「正当事由」が認められること

なお、2020年にはサブリース新法が制定されましたが、この借地借家法の矛盾は解決されなかったため、オーナーからの解約の難易度は解消されないままです。

正当な事由が必要

正当事由として考えられるのが、建物が使用できない場合です。たとえば、以下のようなケースは立ち退きを求めることが可能でしょう。

  • アスベストが使われている
  • 火災や老朽化などにより崩壊の危機がある

正当な事由はオーナーからの解約申し入れの際に求められますが、決してオーナーの事由だけで考慮するわけではありません。貸主であるオーナーの事由と借主であるサブリース会社の事由の両面から検討します。

これは借地借家法の大原則である借主保護より、オーナーの事由で一方的な立ち退きを認めないためです。

解約できても違約金がかかる

一般的な契約書であれば、途中解約に関する約款が設けられているでしょう。通常の賃貸借契約であれば、借主からは賃料の1カ月分、貸主からは6カ月分が違約金の相場です。

しかしサブリースでは、サブリース会社も実際に入居している入居者に対して違約金を支払う必要があるため、相場より高くなるケースが多くあります。

また、解約約款にある違約金の支払いを行えば自動的に解約できるわけではありません。オーナーから解約を申し入れるときには、正当事由も必要です。

自分で住むことが正当事由として認められるのかがポイント

サブリースで貸し出していた物件に自分で住むことは、解約の正当事由として認められるのでしょうか。

本当にサブリース会社が物件を明け渡す必要があるのか、また立ち退きが可能か、それによる不利益が多くないかなどを総合的に判断します。

たとえば、自身が海外勤務から帰国するための住居として使用したい場合、以下などがポイントになるでしょう。

  • 金銭的・資産的にほかの住居が用意できないか
  • ほかで住居を借りるための収入がないか
  • ほかに所有している物件がないか

また、将来的に解約する可能性があるにも関わらず、定期建物賃貸借契約ではなくサブリース契約を締結することは、サブリース会社に損失を与える行為とみなされる可能性もあります。

オーナーとサブリース会社のどちらが正当として認められるのかは、お互いの状況を比較する必要があります。双方で意見が異なる場合は、最終的に裁判所の判断を仰がねば結論は出ません。

しかし、立ち退きを求めるオーナーとしては、時間的な制約もあるため、結論として立ち退き料とよばれる金銭の提供により解決することがほとんどです。

サブリース解約から自分で住むまでの流れ

流れ

サブリースの解約についてサブリース会社の合意を得られた場合、各手続きをしてから、ようやく住むことが可能になります。

大まかな流れは、以下のとおりです。

  1. サブリース会社へ解約通知
  2. 解約条件の確定
  3. 退去(解約)立ち会い
  4. 原状回復(リフォーム)

しかし、サブリース会社と入居者の交渉も完了する必要があり、一般的な賃貸借契約より複雑です。

サブリース会社へ解約通知

まずは、契約の約款に基づき、サブリース会社に対して解約通知を行います。通知期間は契約約款に応じますが、一般的には解約(退去)を求める日付から6カ月以上前となっていることが多いです。

また、解約通知は契約書に定められた様式や方法で行います。

契約の効力が口頭で発生するように、この解約通知も口頭で行うことも可能です。しかし、後々で言った言わないなど水掛け論のトラブルを防止するため、書面や電子メールなどで行うほうが安全です。必ず書面の到着やメールの開封確認を実施しましょう。

解約条件の確定

サブリース契約を解約するにあたり、違約金の支払いのほかに正当な事由に対して承諾を得る必要があります。前述のとおり、大半が立ち退き料を支払うことになるでしょう。

立ち退き料の相場は難しいところですが、入居者が新居を契約し引っ越しができるだけの金額は最低限必要です。また、サブリース会社も転貸借契約を解約するための手続きと交渉を行うため、実際に確定するには相応の時間が必要です。

入居者との交渉状況によっては、立ち退き料の増額を求められることも考えられます。

退去(解約)立ち会い

退去立ち会いは転貸を行っているサブリース会社、もしくはオーナーを加えた3者で行います。

サブリースの契約形態を考えると、サブリース会社が退去立ち会いを実施するべきでしょう。しかし、そのあとの原状回復などの手続きを考えると、可能なかぎりオーナーも立ち会う方が効率的です。

また、専門的な知識も必要なため、この時点で原状回復やリフォーム業者が決まっていれば、その場へ同席を依頼するのがおすすめです。

原状回復(リフォーム)

入居者の立ち退きが完了し、空室となったあとは必要により原状回復を行います。主に、ハウスクリーニングや破損・汚損した部分の修繕、設備の入替などが考えられます。

利用状況によっては原状回復を実施せず、そのまま自分で住み始めるケースもあります。一方で、使用年月に応じてリフォームやリノベーションなどを行い、より暮らしやすい状態にするケースもあります。

原状回復については、退去後でなければ計画しにくいものです。リフォームするかどうかはオーナー自身の時間と予算に応じて計画しておくとよいでしょう。

サブリースも含めて物件の管理に悩んでいるなら

サブリースにすべきか、そもそもどのように物件の管理をするべきか悩んでいる方向けに、ポイントを紹介します。

将来的に自分で住むなら「定期建物賃貸借契約」を選ぶ

アパート経営で重要な家賃収入を安定させるには、サブリースは有効な手段です。

しかし、サブリースは、長期間の賃貸借を前提として運用するものです。もし、将来的にオーナー自身が将来的に使用する場合、期間を定められる定期建物賃貸借契約を検討するべきです。

定期建物賃貸借契約のポイントは、定められた期間が経過したタイミングでの解約が認められている点です。

たとえば、転勤で賃貸に出していた物件を2030年の定年退職のタイミングで取り戻したいと考えているとします。契約期間を2030年の3月までとして締結すれば、違約金も正当な事由も求められずに解約できます。

なお、定期建物賃貸借契約を締結する際は、以下の点を遵守しなければなりません。

  • 公正証書などの契約書を作成する
  • 契約書とは別に「更新がなく、期間満了で終了する」という旨を書面で交付し、説明する
  • 重要事項説明書にて「定期で契約が満了となること」を説明し、交付する

この3点2点が実施できていない場合、定期建物賃貸借契約とならず、オーナーからの解約には違約金と正当事由が必要です。

サブリースに関する相談はサブリース会社へ

サブリースの大きなメリットは家賃収入が途切れることがなく、安定した運用が可能となる点です。

アパート経営やマンションの1室や戸建てを貸し出す場合でも、ほとんどが収入は家賃のみであるため、空室期間が続くと赤字になります。空室であっても家賃を得られるサブリースは、収支だけでなく精神的な安定も得られます。

もし、将来的に自分や家族が使用する可能性があれば、その点も含めてサブリース会社に相談してみるとよいでしょう。

状況により契約期間を短くしたり、約款を見直したりするなど、サブリース会社のノウハウにより最善の提案をもらえるかもしれません。

サブリースの魅力を最初から排除せず、柔軟な対応ができないか検討するのも、不動産経営では重要なことです。


このエントリーをはてなブックマークに追加
<<一覧に戻る