賃貸管理コラム
カテゴリー: アパート・マンション経営
アパート経営は、家賃収入から毎月一定の収益を得られる魅力的な投資ですが、さまざまなリスクが存在します。
リスクを考慮せずにアパート経営を始めてしまうと、収益を上げるどころか、負債を抱えてしまうことになるかもしれません。
アパート経営の代表的なリスクや失敗を回避するための対策を紹介します。
アパート経営で特に注意が必要なリスクは、以下の5つです。
空室リスクは、アパート経営で最大のリスクといえるでしょう。
アパート経営では、家賃収入が利益の中心になります。空室期間が続くと収支のバランスが取れなくなり、経営計画の見直しを行わなければいけません。
特に修繕費用などは毎月の家賃収入から積立を行い、計画的に修繕を実施する必要があります。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」にもあるとおり、経年変化(建物が時間とともに劣化すること)や通常損耗(通常生活の使用で生じる不具合や傷など)についてはオーナーの負担になります。毎月の家賃収入から充てる必要があるため、想定外の空室が続くと、収支がマイナスになってしまうのです。
空室が発生する原因として、以下のものが考えられます。
たとえば、管理状態が悪いのに相場以上に家賃が高い物件は入居者が集まりません。
これらの発生原因を減らし、高い入居率を保つことがアパート経営の課題といえるでしょう。
アパート経営をするうえで、修繕に関するリスクはつきものです。
アパートの修繕を怠ると、以下のような事態を招くおそれがあります。
予期せぬトラブルとは、建物所有者の工作物責任として損害賠償に問われるケースです。たとえば、物件の看板がはがれて落下し、通行人にケガを負わせた場合、所有者に過失がなくとも所有者の責任になります。
また、基本的に建物に生じた不具合や設備の故障はオーナー負担になり、修繕の工事費用が100万円を超えることも珍しくありません。
さらに、アパートは築15年ほどを経過すると、大規模な建物の損傷、設備の故障が発生しやすくなります。この時期に行う工事は大規模で高額な費用が発生するため、大規模修繕といわれています。
計画的な修繕の積み立てを行っていないと修繕の箇所が増え、多額の損失につながってしまいます。
アパートオーナーは定期点検の費用を考慮したうえで大規模修繕に備えた計画を立て、管理していくことが大切です。
災害によって、突発的な修繕費用の発生や家賃の減額、賃貸借契約が終了するリスクがあります。
賃貸借契約においてオーナーは入居者に使用・収益をさせる義務があります。その物件の使用に応じて家賃を支払うのが、入居者の義務です。
地震などの不可抗力な事態が発生しても、オーナーは入居者が安心して住むことができるようにする必要があります。
入居者トラブルのリスクとして、主に家賃滞納や規約違反、明け渡しに関するものがあります。
家賃滞納を慢性的に行う入居者は、注意や警告だけでは改善しないケースが多く、法的手段での対応になることもあります。
その際、オーナーは弁護士費用が発生するだけではなく、時間を奪われたり、精神的なダメージを負ったりするでしょう。
規約違反や部屋の明け渡しのトラブルが発生すれば、アパート全体のモラルが低下し、入居率の低下につながります。そうなると長期空室が問題となり、アパート経営において収益性の低下が考えられます。
入居者トラブルは、入居審査で入居予定者の確認が不十分だったり、管理が不十分で物件のモラルが低下していたりすることが原因で発生することもあります。
総務省統計局の「借家家賃の経年変化について」では、1年間あたり家賃が約1%低下するという結果が出ています。
家賃が下落する原因は、建物の経年劣化、競合物件の増加などです。
また、空室を埋めるために家賃を下げるケースもあります。
新築時は、物件の差別化が可能で空室の心配はほとんどありません。しかし、築年数が増えると競合物件との差別化が難しくなりオーナーは家賃で差別化を図ろうとしてしまいます。
その結果、家賃水準が保てず、家賃全体の下落が起こってしまうのです。
家賃の下落を考慮していないと、利回りの低下からキャッシュフローの減少を引き起こし、収益を出すことが難しくなることもあります。家賃の下落を見越した長期的な計画が重要といえます。
アパート経営でリスクをゼロにすることは困難ですが、最小限に抑えて損失を抑えることが重要です。
アパート経営で失敗しないためのリスク対策として、以下の5つが挙げられます。
空室対策において物件の差別化は重要です。
新築物件や築浅物件であれば、そもそも築年数で差別化ができるのでそこまで心配はいりません。
しかし、築年数が古い物件になるほど競合物件も増え、ポータルサイトでの検索で入居者の目に留まりにくくなります。
そうなった場合、入居者にアピールできるポイントとして、ほかの物件にはない設備やサービスをつけることをおすすめします。
たとえば、以下のような方法があります。
注意点として、差別化を図るため、安易に家賃を下げてしまうのはやめましょう。家賃を下げることで一時的に入居率は上がりますが、家賃水準が下がり、結果的に収益を出しにくくなってしまいます。
当たり前ですが、相場よりも高い家賃で広告を出しても入居者は決まりません。ただし、家賃を相場に合わせた物件にしたからといって、入居者が必ず決まるわけでもありません。
設備や管理状況などすべてを考慮した家賃設定にすることが望ましいです。
自分でSUUMOなどポータルサイトでほかの物件を参考にすることも可能ですが、家賃設定については専門家である不動産会社に直接話を聞いたほうが確実といえます。
不動産会社は、担当地域のアパートの立地や設備、入居者のニーズを的確に把握しています。同じ地域のアパートでも駐車場の有無や各部屋の設備、共用部分の利用状況など詳しく分かるはずです。
こうした何百件とある物件を比較して総合的に適切な家賃を判断することは、不動産会社にしかできません。
また、どの設備を付ければ相場以上で入居者が決まる可能性があるかなど、アドバイスも期待できるでしょう。
アパート経営では、長期で計画を立てて修繕を実施することで修繕時のリスクを抑えられます。
修繕の計画を立てずにアパート経営を行っていると、想定外の出費や損失の拡大につながるおそれがあります。
アパートの修繕費用は必ず発生するものですので、事前に予測して備えておくことが大切です。
また、計画修繕に加え、定期的なリノベーションを行うことで物件の差別化につながり、入居率の促進が期待できます。
アパート経営では、優良な入居者に長く入居してもらうことが重要です。
属性の悪い入居者が増えればアパートのモラルは低下して入居率が下がり、家賃の値下げを行う必要が出てくるかもしれません。
優良な入居者に長く住んでもらうことで、広告費用や家賃の下落リスクを抑えられます。
そのため、入居者からの要望や苦情があった際は、うやむやに対応するのでなく、しっかりと聞き入れたうえで最善の提案をすることが大切です。
サブリースとは、サブリース会社がアパートをまるごと借り上げ、入居者に転貸する方式のことです。アパートのオーナーは、サブリース会社とマスターリース契約または特定賃貸借契約と呼ばれる契約を結びます。
サブリースの最大のメリットは、空室があっても一定の家賃が保証されているため、毎月安定した収益を上げることが可能な点です。手数料はかかりますが、空室や滞納のリスクがなくなるのは、安定したアパート経営を続けたい人にとって最適です。
また、サブリース会社が管理業務のすべてを行ってくれるため、オーナーの負担はありません。
現状のアパート経営で不安のある方や今後アパート経営を考えている方は、一度、サブリース会社に相談してみましょう。
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