賃貸管理コラム

空室対策は管理会社で決まる?埋まらない原因と見直すべきポイント

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空室対策は、物件のスペックだけでなく、管理会社の「動き」によって大きく左右されます。同じエリア、同じ条件の物件でも、管理会社次第で入居率に歴然とした差が生まれる、それが賃貸経営です。長期化する空室に悩むオーナーの多くが、物件そのものではなく、管理会社の対応力不足という「見えにくい原因」を見落としています。

なぜ空室が埋まらない?管理会社が原因かを見極めるチェックポイント

空室が長引く背景には、物件の競争力低下だけでなく、管理会社の募集活動や物件管理の質が関わっているケースが少なくありません。物件オーナーにとって空室対策は避けて通れない経営課題となっています。首都圏でも空室率は決して低くはなく、適正な空室率とされる5〜10%を上回る物件が多数存在しています。

物件の問題?それとも管理会社の「動き不足」?

空室が埋まらない原因、多くのオーナーはまず「家賃が高いのか」「設備が古いのか」といった物件自体の問題を疑います。しかし実際には、物件そのものに大きな欠陥がなくても、管理会社の募集活動が不十分なために空室が続いているケースが数多く見られます。

管理会社の「動き」を見極めるには、具体的な募集活動の内容を確認することが重要です。どのポータルサイトに掲載しているのか、何店舗の仲介会社と連携しているのか、内見の対応スピードはどうか。これらの実務レベルの情報を把握せずに、ただ報告を待っているだけでは、本当の問題は見えてきません。

募集活動は十分か|ポータルサイト・写真・募集条件の確認

現代の賃貸住宅探しは、ほぼインターネットからスタートします。物件がネット上でどう見えているか、そしてそもそも検索結果に表示されているかが、空室解消の第一歩です。

掲載内容は最適化されているか

SUUMO、HOME’S、athomeなどの主要ポータルサイトへの掲載状況を確認しましょう。複数のサイトに露出することで、入居希望者の目に触れる機会が増えます。また、物件情報の記載内容も重要です。「駅徒歩10分」といった基本情報だけでなく、周辺の生活利便施設、日当たり、間取りの特徴など、物件の魅力が具体的に伝わる説明文になっているかをチェックする必要があります。

家賃設定も見直しポイントです。たとえば家賃7万3千円の物件を7万円に変更するだけで、「7万円以下」という検索条件にヒットするようになり、露出が大幅に増える可能性があります。端数の調整一つで検索結果への表示回数が変わることを、管理会社が理解しているかどうかも見極めのポイントです。

写真が古い・魅力が伝わらない状態になっていないか

ネット掲載の写真は、内見を促す最も重要な要素です。暗い写真、画質の粗い写真、何年も前に撮影したままの古い写真では、入居希望者の興味を引くことはできません。明るく清潔感のある写真、部屋の広さや設備の魅力が伝わる構図、実際の生活をイメージできるアングルなど、写真一つで反響数は大きく変わります。

また、写真の枚数も重要です。玄関、リビング、キッチン、バスルーム、収納など、複数の角度から撮影された豊富な写真があれば、遠方からの問い合わせも増えやすくなります。

内見時の印象を左右する管理状態

ネットで興味を持った入居希望者が実際に物件を見に来る「内見」は、成約の最終関門です。この段階で良い印象を与えられなければ、どれだけ募集活動を頑張っても成果にはつながりません。

共用部清掃・ゴミ置き場・掲示物は整っているか

内見者は部屋の中だけでなく、エントランス、階段、廊下といった共用部も必ず目にします。ここが汚れていたり、管理が行き届いていない印象を与えたりすると、「この物件は大丈夫だろうか」という不安につながります。

特にゴミ置き場の状態は重要です。ゴミが散乱している、分別ルールが守られていない、長期間放置された不燃ゴミがあるといった状況は、「住民のマナーが悪い」「管理会社の管理能力が低い」という印象を与えてしまいます。定期的な清掃が実施されているか、管理会社に確認すべきポイントです。

掲示板の古い案内や色あせた張り紙がそのままになっているのも、管理の甘さを感じさせます。細部への配慮があるかどうかが、内見者の最終判断に影響を与えます。

内見対応のスピードと質は問題ないか

内見希望の問い合わせがあった際、管理会社がどれだけ迅速に対応しているかも確認が必要です。物件探しは短期決戦であり、入居希望者は複数の物件を比較検討しています。問い合わせから内見までの日数が長ければ、その間に他の物件で決まってしまう可能性が高くなります。

また、内見時の対応者の質も重要です。物件の特徴を丁寧に説明できるか、入居希望者の質問に的確に答えられるか、好印象を与えるコミュニケーションができているか。これらは成約率に直結する要素です。管理会社が内見対応を重視しているかどうかは、空室解消のスピードを大きく左右します。

管理会社が提案すべき本当の空室対策とは

空室が長期化した際、管理会社がどのような提案をしてくるかで、その会社の実力が見えてきます。単に「家賃を下げましょう」というだけの提案では、長期的な収益性を損ないます。

「家賃を下げるだけ」の提案が危険な理由

空室が続くと、管理会社から「家賃を下げれば決まりやすくなります」という提案を受けることがあります。確かに家賃を下げれば短期的には入居者が決まる可能性は高まります。

しかし、一度下げた家賃は、次の入居者募集時にも影響します。周辺相場が形成されてしまうため、元の家賃に戻すことは困難です。仮に月5千円下げた場合、年間6万円、10年で60万円の収益減少につながります。さらに、家賃が下がれば物件の資産価値そのものも下がり、将来的な売却価格にも影響を及ぼします。

家賃を下げる前に、他に打てる手がないか検討すべきです。募集方法の見直し、設備の改善、ターゲット層の変更など、家賃を維持しながら空室を埋める方法は数多く存在します。

空室対策に強い管理会社が持つ3つの武器

優れた管理会社は、家賃値下げ以外の選択肢を豊富に持っています。物件の魅力を高める具体的な提案ができるかどうかが、管理会社の実力の差です。

リノベーション・設備改善

築年数が経過した物件でも、適切なリノベーションや設備改善によって競争力を取り戻すことができます。全面的な改装ではなく、費用対効果の高い部分的な改善提案ができる管理会社は信頼できます。

たとえば、全国賃貸住宅新聞の人気設備ランキングでは、インターネット無料、宅配ボックス、エアコン、独立洗面台などが上位に入っています。これらの設備を追加することで、物件の魅力を大きく向上させることが可能です。

また、壁紙の張り替え、照明のLED化、水回りの小規模改修など、比較的低コストで実施できる改善策もあります。管理会社が市場のニーズを的確に把握し、投資効果の高い提案をできるかが重要です。

フリーレント・初期費用軽減キャンペーンの活用

フリーレント(一定期間の家賃無料)は、家賃そのものを下げずに入居者の負担を軽減できる有効な手段です。たとえば初月1カ月分を無料にしても、年間を通じた収益への影響は限定的です。引っ越しには多くの費用がかかるため、初期負担を軽くすることで入居を決めやすくなります。

敷金・礼金の減額やゼロゼロ物件化、仲介手数料の負担なども、初期費用を抑える施策として効果的です。これらの施策を適切なタイミングで提案できる管理会社は、空室対策のノウハウを持っています。

ターゲット変更(単身・法人・外国人など)の提案力

これまで想定していなかった入居者層に目を向けることで、空室が埋まるケースもあります。単身向けと思っていた物件をルームシェア可にする、法人契約を積極的に受け入れる、外国人入居者を受け入れるなど、ターゲットの幅を広げる提案ができるかどうかも管理会社の力量です。

特に外国人入居者については、言語対応や文化の違いへの配慮が必要になりますが、近年は外国人向けのサポートサービスを提供する管理会社も増えています。多様な入居者層を受け入れる体制があれば、空室リスクを大きく軽減できます。

仲介力の差が空室期間を左右する

どれだけ魅力的な物件でも、入居希望者に情報が届かなければ意味がありません。管理会社の仲介力、つまり「いかに多くの入居希望者に物件情報を届けられるか」が空室解消の鍵を握ります。

自社仲介店舗を持つ管理会社の強み

自社で仲介店舗を運営している管理会社は、来店した顧客に対して直接物件を紹介できる強みがあります。自社管理物件であれば、詳細な情報を把握しているため、顧客のニーズに合わせた的確な提案が可能です。

ただし、自社店舗だけで募集を完結させている管理会社は、かえって募集の幅が狭くなる可能性もあります。自社店舗を持ちつつ、他社の仲介会社とも積極的に連携している管理会社が理想的です。

他社仲介との連携(リーシング力)は十分か

PM(プロパティマネジメント)型の管理会社は、自社で仲介店舗を持たず、多数の他社仲介会社と連携して募集活動を行います。この方式では、1つの物件を100店舗以上の仲介会社で扱ってもらえるケースもあり、募集の間口が非常に広くなります。

入居希望者がどの不動産会社に行っても自分の物件を紹介してもらえる状態を作ることが、空室解消の近道です。管理会社が何店舗の仲介会社と連携しているか、レインズ(不動産流通標準情報システム)への登録はしているか、広告料(AD)の設定は適切かなど、具体的な仲介戦略を確認することが重要です。

空室対策で失敗しない管理会社の選び方

管理会社を選ぶ際、多くのオーナーは管理手数料の安さや、担当者の印象で判断しがちです。しかし、本当に重視すべきは「空室をいかに早く埋められるか」という実務能力です。

空室対策に強い管理会社を見極める5つの基準

優れた管理会社を見極めるには、具体的な判断基準が必要です。単なる印象や営業トークではなく、実績とデータに基づいた評価をすべきです。

提案内容がデータ・事例ベースか

空室対策の提案を受ける際、その根拠が明確かどうかを確認しましょう。「このエリアでは築20年以上の物件にはインターネット無料設備が必須です」といった提案であれば、実際のデータや他物件の導入事例を示してもらうべきです。

感覚的な提案ではなく、周辺相場の分析、競合物件の調査結果、過去の成功事例など、具体的なデータに基づいた提案ができる管理会社は信頼できます。市場動向を常に把握し、データドリブンな意思決定ができる体制があるかどうかが重要です。

空室期間・入居率の実績を開示しているか

管理会社自身の実績を公開しているかも重要な判断材料です。「当社の管理物件の平均入居率は98%です」といった具体的な数字を示せる会社は、自社の管理能力に自信を持っている証拠です。

また、空室が発生してから成約に至るまでの平均期間も確認すべきポイントです。

オーナーへの報告頻度・改善提案の有無

定期的な報告と積極的な改善提案があるかどうかも、管理会社の姿勢を示す指標です。空室が発生した際、どのような募集活動を行ったか、問い合わせ件数や内見数はどうだったか、今後の対策は何かなど、具体的な情報提供があるべきです。

逆に、空室が長期化しているにもかかわらず、何の報告も提案もない管理会社は、積極性に欠けると判断せざるを得ません。オーナーと二人三脚で空室解消に取り組む姿勢があるかどうかが重要です。

「管理満足度」だけで選んではいけない理由

管理会社を選ぶ際、既存入居者からの「管理満足度」が高いことは確かに重要です。しかし、管理満足度が高くても、空室を埋める力が弱ければ、オーナーの収益は改善しません。

入居者対応が丁寧であることと、空室を埋める営業力があることは別の能力です。理想的な管理会社は、入居者満足度を高めて退去を防ぎつつ、空室が発生した際には迅速に次の入居者を見つけられる、両方の能力を備えています。

管理会社を評価する際は、「入居者から見た満足度」だけでなく、「オーナーの収益向上に貢献しているか」という視点を忘れてはいけません。

管理会社を変更すると空室は本当に改善するのか

空室が長期化し、現在の管理会社に不満を感じたとき、多くのオーナーが管理会社の変更を検討します。しかし、変更には手間もコストもかかるため、慎重な判断が必要です。

管理会社を変えるメリット・デメリット

管理会社の変更は、状況を好転させる可能性がある一方で、リスクも伴います。メリットとデメリットを十分に理解したうえで判断すべきです。

改善が期待できるポイント

新しい管理会社に変更することで期待できる改善点は、まず募集活動の強化です。仲介ネットワークが広い会社に変更すれば、物件の露出が大幅に増え、入居希望者の目に触れる機会が増えます。

また、新鮮な視点からの空室対策提案も期待できます。長年同じ管理会社に任せていると、対応がマンネリ化することがあります。新しい管理会社であれば、これまでとは異なる角度から物件の魅力や改善点を指摘してくれる可能性があります。

管理体制の改善も見込めます。清掃頻度の増加、クレーム対応のスピードアップ、入居者とのコミュニケーション改善など、日常的な管理業務の質が向上すれば、入居者満足度が高まり、結果的に退去率の低下にもつながります。

切り替え時に注意すべきリスク

一方で、管理会社変更には注意すべきリスクもあります。まず、引き継ぎの過程でトラブルが発生する可能性です。入居者情報の引き継ぎミス、敷金や保証金の処理ミス、修繕履歴の不備などが起きると、後々大きな問題になりかねません。

また、入居者に不安を与える可能性もあります。管理会社が変わることで、問い合わせ先や支払い方法が変わる場合、入居者が混乱したり不信感を抱いたりすることがあります。変更の際には、入居者への丁寧な説明が不可欠です。

新しい管理会社が必ずしも期待通りの成果を出すとは限らない点も認識しておくべきです。変更前に十分な調査と比較検討を行わなければ、「前の会社の方が良かった」という事態になりかねません。

管理会社変更の流れと失敗しない進め方

管理会社の変更を決断した場合、適切な手順を踏むことで、リスクを最小限に抑えることができます。

変更までの具体的なステップ

管理会社変更は、計画的に進めることが成功の鍵です。焦って決断すると、後悔することになりかねません。

現管理会社との契約内容・解約条件の確認

まず、現在の管理契約の内容を確認しましょう。契約期間、解約予告期間、違約金の有無など、契約書に記載されている条件を把握する必要があります。一般的に、管理委託契約は3カ月前予告が多いですが、契約によって異なります。

解約予告期間を守らずに解約すると、違約金が発生する可能性があります。また、敷金や保証金の返還、修繕積立金の引き継ぎなど、金銭面の処理についても明確にしておくべきです。

解約の意思を伝える際は、書面で行うことが望ましいです。口頭だけでは後々トラブルになる可能性があるため、内容証明郵便などで正式に通知することをおすすめします。

新管理会社の比較・選定方法

新しい管理会社を選ぶ際は、複数の会社から提案を受けて比較検討しましょう。1社だけの話を聞いて決めるのではなく、少なくとも3社以上から見積もりと提案を取ることが望ましいです。

比較のポイントは、管理手数料だけではありません。仲介ネットワークの広さ、空室対策の具体的な提案内容、管理実績、入居率、オーナーへの報告体制、緊急時の対応体制など、総合的に評価すべきです。

実際に管理している物件を見学させてもらうことも有効です。共用部の清掃状態、掲示物の管理、入居者とのコミュニケーションなど、現場を見ることで管理会社の実力が分かります。

引き継ぎトラブルを防ぐための注意点

管理会社の切り替え時には、入居者情報、契約書類、鍵、修繕履歴、敷金・保証金の管理状況など、膨大な情報とモノの引き継ぎが発生します。

引き継ぎリストを作成し、双方の管理会社の立ち会いのもとで確認作業を行うことをおすすめします。特に金銭に関わる部分は、後々トラブルになりやすいため、慎重な確認が必要です。

入居者への通知も重要です。管理会社変更の1〜2カ月前には、新しい管理会社の連絡先、家賃振込先の変更(変更がある場合)、緊急連絡先などを文書で通知しましょう。入居者が混乱しないよう、丁寧な説明を心がけるべきです。

空室に悩んだらまずやるべき行動

空室対策は、物件のハード面だけでなく、管理会社の「動き」が大きく影響します。まず現状を正確に把握し、管理会社が十分な募集活動を行っているか、物件管理が適切に行われているかを確認しましょう。

家賃を下げる前に、募集方法の見直し、写真の刷新、設備改善、ターゲット層の拡大など、他に打てる手がないか検討すべきです。管理会社から具体的な提案がない場合は、変更も視野に入れる必要があります。

新しい管理会社を選ぶ際は、管理手数料の安さだけでなく、仲介力、提案力、実績を総合的に評価することが重要です。データに基づいた提案ができ、積極的に空室解消に取り組む姿勢のある管理会社を選びましょう。

空室対策は、オーナーと管理会社の二人三脚で取り組むべき課題です。管理会社任せにせず、定期的なコミュニケーションを取りながら、物件価値の維持・向上に努めることが、長期的な賃貸経営の成功につながります。


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